突然始まった「営業担当者失踪事件」
「最近、I社の営業担当者から連絡が来ないんですよね。いつもは月に2回は必ず顔を出してくれていたのに、ここ3か月ほどパッタリと...」
関東圏で製造業を営むA社の購買部長から、こんな相談を受けました。長年取引を続けていた部品メーカーI社の営業担当者が、ある日を境に突然姿を現さなくなったというのです。定期的な打ち合わせは一方的にキャンセルされ、電話をしても「後で折り返します」と言ったきり音沙汰なし。メールの返信も遅くなり、やっと来た返事も素っ気ないものばかり。
「他の会社に転職でもしたのかと思って、I社に問い合わせてみたら、まだ在籍しているとのこと。一体何が起こっているんでしょうか?」
実は、この「営業担当者失踪事件」、古い基幹システムを使い続けている会社では頻繁に発生している現象なのです。
営業担当者を「失踪」させる古いシステムの正体
問題の根本は、I社が20年前から使い続けている古い基幹システムにありました。このシステム、一見すると営業支援機能も備えているように見えるのですが、実際に使ってみると...
データ入力だけで半日が終わる悪夢
「1件の商談情報を入力するのに、なんと45分もかかるんです」と語るのは、I社で10年間営業を続けてきた田中さん(仮名)。顧客訪問から戻るたびに、以下のような作業に追われているといいます:
- 顧客基本情報の更新(担当者変更、連絡先変更など)
- 商談内容の詳細入力(フリーテキストのみ、項目選択なし)
- 見積書作成のための別システムへのデータ再入力
- 売上予測データの手動計算と入力
- 上司向けレポートの作成(システムから自動出力不可)
「1日3件の顧客訪問をすると、帰社後にデータ入力だけで3時間。残業してやっと終わらせても、翌日にはまた同じことの繰り返しです」
リアルな現場の声:営業担当者たちの本音
「システムが重すぎて仕事になりません」(営業歴5年・佐藤さん)
「朝一でシステムを立ち上げようとすると、完全に起動するまで15分待ち。顧客リストを開くのにさらに10分。途中でフリーズすることも多くて、せっかく入力したデータが消えてしまうこともあります。もう外回りから戻るのが憂鬱で仕方ないんです。」
「データの二重管理で混乱の日々」(営業歴8年・鈴木さん)
「基幹システムとは別に、Excel で顧客管理をしています。システムでは検索がうまくできないし、レポート機能も使い物にならないので。でも、そうすると同じデータを2箇所で管理することになって、どちらが正しい情報なのかわからなくなることも。お客様から問い合わせがあっても、すぐに答えられないんです。」
「上司からのプレッシャーが辛い」(営業歴3年・山田さん)
「『なぜ営業活動の報告が遅いんだ?』『顧客訪問の頻度が下がっているじゃないか?』と言われますが、システム入力に時間を取られて、肝心の営業活動に時間が割けないんです。でも、そんなこと上司には言えませんよね...」
「失踪」の背景にある深刻な問題
営業担当者たちの証言から見えてきたのは、古いシステムが引き起こす深刻な問題でした:
時間の逆転現象
本来であれば、営業担当者の時間配分は「顧客との接触8割、事務作業2割」が理想です。しかし古いシステムを使っている会社では、この比率が完全に逆転。「事務作業8割、顧客接触2割」という状況に陥っているのです。
モチベーションの急降下
「お客様のために良い提案をしたい」という営業本来の情熱が、システム作業の煩雑さによって削がれてしまいます。結果として、顧客訪問を避けるようになり、必然的に連絡頻度も下がっていくのです。
情報の属人化
システムが使いにくいため、重要な顧客情報が個人のメモや頭の中にだけ残り、チーム全体で共有されません。担当者が休んだり退職したりすると、顧客との関係が断絶してしまう危険性があります。
お客様から見た「失踪」の影響
購買部長のAさんは、この状況について以下のように語っています:
「営業担当者とは10年以上の付き合いで、技術的な相談から価格交渉まで、何でも気軽に話せる関係でした。それが最近は連絡を取るのも一苦労。急ぎの案件があっても対応が遅く、結果として他社への発注を検討せざるを得ない状況です。長年の信頼関係があっても、これでは困りますね。」
このように、古いシステムの問題は単に社内の効率性だけでなく、顧客との信頼関係にも深刻な影響を与えているのです。
現代の基幹システムがもたらす劇的な変化
一方で、最新の基幹システムを導入した企業では、営業担当者の働き方が劇的に変化しています:
- スマートフォン対応:移動中や顧客先からでも即座にデータ入力・確認が可能
- AI活用:過去の商談データから最適な提案内容を自動推奨
- リアルタイム同期:チーム全体で最新の顧客情報を共有
- 自動レポート機能:面倒な報告書作成が不要に
- 直感的操作:複雑な操作なしで必要な情報にアクセス
「システム刷新後、データ入力時間が90%短縮されました。浮いた時間で顧客訪問回数を倍増でき、売上も20%向上しています」という成功事例も数多く報告されています。
まとめ:「失踪」を防ぐために今すべきこと
営業担当者の「失踪」は、決して個人の怠慢ではありません。古い基幹システムが作り出す構造的な問題なのです。もし御社の営業担当者が顧客との接触を避けるようになったり、報告が滞るようになったりしているなら、それはシステム刷新のサインかもしれません。
現代のビジネス環境では、営業担当者が本来の力を発揮できるシステム環境の整備が不可欠です。顧客との関係を深化させ、売上向上を実現するためにも、基幹システムの見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
次回は「伝説の経理担当者が語る『月末の48時間不眠不休』の実態」をお届けします。古いシステムが経理部門に与える影響について、リアルな現場の声とともにお伝えします。