みなさんこんにちは株式会社みんなシステムズの営業の岩永です。
今日は多くのお客様からご質問をいただく「IT導入補助金を使ったシステム入れ替え」について、実際の導入事例も交えながらお話ししていきたいと思います。
IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助する制度です。経済産業省が推進するデジタル化支援策として、業務効率化や売上向上を目的としたシステム導入を支援しています。既存システムから新システムへの入れ替えも対象となり、企業のDX推進を後押ししています。
私がお客様とお話ししていて感じるのは、「補助金は新規導入だけでしょ?」と思われている方が結構いらっしゃることです。でも実は、古くなったシステムを新しいものに入れ替える場合でも、しっかりと対象になるんですよ。むしろ、古いシステムで困っている企業さんほど、この制度を活用するメリットが大きいと感じています。
システム入れ替えの基本概念
IT導入補助金 システム入れ替えとは、現在使用している古いシステムを最新のITツールに置き換えることを指します。単なる新規導入とは異なり、既存システムの機能を維持・向上させながら、より効率的なシステムへ移行する取り組みです。
ここで言う「入れ替え」というのは、単にソフトを変えるという意味ではありません。業務フローの見直し、データの移行、従業員の方への研修など、総合的なシステム改善プロジェクトと考えていただければと思います。私たちがサポートさせていただく際も、技術面だけでなく、運用面まで含めて提案させていただいています。
実際の導入事例:長崎県佐世保市の製造業A社様
具体的な事例をお話しすると、先日長崎県佐世保市の製造業A社様で基幹システムのリプレイスをお手伝いさせていただきました。こちらの会社様は、15年以上前に導入したシステムを使われていて、いくつかの課題を抱えていらっしゃいました。
まず一番大きな問題は、データの入力に異常に時間がかかることでした。古いシステムのUIは今の基準で見ると使い勝手が悪く、同じ情報を何度も入力する必要があったり、画面の切り替えが多くて作業効率が悪かったりしていました。経理部の方は「一つの伝票を入力するのに10分かかっていた」とおっしゃっていましたね。
新しいシステムに入れ替えた結果、UIが大幅に改善されて、同じ作業が3分程度で完了するようになりました。これだけで、日々の業務時間が大幅に短縮されて、他の重要な業務に時間を割けるようになったそうです。
また、営業部門でも大きな変化がありました。以前は在庫確認のために、営業担当者がお客様との商談中に「在庫を確認して後日連絡します」と言って、一度会社に戻って在庫管理システムをチェックする必要がありました。でも新システムでは、営業担当者がタブレットから直接在庫状況を確認できるようになったんです。
これによって、お客様の前でその場で「来週の火曜日には出荷可能です」といった具体的な回答ができるようになり、商談のスピードが格段に上がりました。営業部長さんからは「お客様からの信頼度も上がったし、受注率も明らかに向上している」という嬉しいお言葉をいただいています。
IT導入補助金でシステム入れ替えが可能な対象
対象となるシステムの種類
- 会計・財務管理システム:経理業務の自動化や決算処理の効率化を実現
- 顧客管理システム(CRM):営業活動の効率化と顧客情報の一元管理
- 在庫管理システム:物流・倉庫業務の最適化とリアルタイム在庫把握
- 勤怠管理システム:人事労務のデジタル化と労働時間の適正管理
- ECサイト構築システム:オンライン販売の強化と新規顧客開拓
- 生産管理システム:製造業における工程管理と品質向上
- 受発注管理システム:取引先とのやり取りの電子化とミス削減
この中でも特に人気が高いのは、会計システムと在庫管理システムですね。どちらも日々の業務に直結するシステムなので、入れ替え効果を実感しやすいのが理由だと思います。
対象外となるシステム
- ハードウェアのみの購入(パソコン本体、サーバー機器など)
- 汎用的なパソコンやタブレット端末
- 単純なソフトウェアライセンスのみの購入
- 既存システムの保守・メンテナンス費用
- インターネット回線やクラウド利用料の月額費用
ここで注意が必要なのは、システムと一緒にパソコンを新しくしたいという方が結構いらっしゃることです。でも残念ながら、パソコン本体は補助対象外なんです。ただし、システム導入に必要な周辺機器(バーコードリーダーや専用プリンターなど)は対象になる場合もあるので、詳しくは相談していただければと思います。
申請の流れと必要書類
申請前の準備
申請の準備段階では、以下の3つのステップが重要になります:
1. IT導入支援事業者の選定
補助金申請には、認定されたIT導入支援事業者と一緒に進める必要があります。私たちのような支援事業者が、申請書類の作成からシステム導入、運用サポートまで一貫してお手伝いします。選定の際は、自社の業界に詳しい事業者を選ぶことをお勧めします。
2. 導入予定システムの決定
補助金の対象となるITツールは事前に登録されているものに限られます。まずは現在の業務の課題を整理して、どのようなシステムが最適かを検討しましょう。先ほどの佐世保市の事例でも、現状分析から始めて最適なシステムを選定しました。
3. 事業計画の策定
システム導入後の効果を具体的に示した事業計画書の作成が必要です。売上向上、コスト削減、業務効率化など、数値で示せる目標設定が重要になります。
申請書類の提出
申請時に必要な主な書類は以下の通りです:
- 交付申請書:システムの導入計画や期待効果を記載
- 事業計画書:具体的な業務改善計画と数値目標
- 経費明細書:導入費用の詳細な内訳
- 履歴事項全部証明書:法務局で取得する会社の登記簿謄本
- 決算書類:直近2期分の貸借対照表・損益計算書
- 労働者名簿:従業員数の確認資料
申請は電子申請システム「jGrants」を通じて行い、審査期間は約1~2ヶ月程度です。私の経験では、書類に不備がなければスムーズに進むことが多いですが、事業計画書の内容が不十分だと追加資料を求められることもあります。
補助金額と補助率
IT導入補助金 システム入れ替えの補助内容は、導入するシステムの種類や規模によって以下のように分かれています:
- 通常枠(A類型):5万円~150万円未満(補助率1/2)
比較的シンプルなシステム導入に適用。例えば会計ソフトの入れ替えや小規模な顧客管理システムなど。 - 通常枠(B類型):150万円~450万円以下(補助率1/2)
複数のシステムを統合したり、より高機能なシステムを導入する場合。基幹システム全体の入れ替えなどがこれに該当します。 - デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):最大350万円(補助率2/3~3/4)
会計・受発注・決済・ECの機能を持つシステムが対象。補助率が高いので、該当する場合は非常にお得です。
先ほどの佐世保市の事例では、基幹システム全体の入れ替えだったので通常枠のB類型で申請し、導入費用300万円に対して150万円の補助を受けることができました。実質的な負担額が半分になるので、企業としても投資しやすかったとおっしゃっていました。
システム入れ替え時の注意点
システム入れ替えを成功させるために、以下の点にご注意ください:
- データ移行計画の策定が重要
既存システムからのデータ移行は最も慎重に行う必要がある作業です。顧客情報や取引履歴など、重要なデータが消失しないよう、事前にバックアップ計画と移行テストを十分に行いましょう。佐世保市の事例でも、移行作業に2週間かけて慎重に進めました。 - 既存システムとの互換性確認
完全に入れ替えができない場合、一時的に新旧システムを並行稼働させることもあります。その際のデータ整合性や業務フローの確認が重要です。 - 従業員への操作研修実施
どんなに良いシステムでも、使う人が操作に慣れていなければ効果は発揮されません。導入後は必ず操作研修を実施し、全員が使いこなせるようになるまでサポートしましょう。私たちも導入後3ヶ月間はフォローアップ研修を実施しています。 - 補助金の事業実績報告が必須
システム導入完了後は、事業実績報告書の提出が義務付けられています。導入効果や売上への影響など、数値で効果を示す必要があります。 - 3年間の事業継続が条件
補助金を受けたシステムは、最低3年間は継続して使用する必要があります。この期間中に他のシステムに変更したり、事業を廃止したりすると、補助金の返還を求められる場合があります。
システム入れ替えで期待できる効果
適切なシステム入れ替えによって、以下のような効果が期待できます:
業務効率の大幅改善
先ほどの佐世保市の事例のように、入力作業時間の短縮は即座に効果を実感できる改善です。UI/UXの向上により、同じ作業でも作業時間が半分以下になることも珍しくありません。
情報共有の円滑化
営業担当者がリアルタイムで在庫情報を確認できるようになったように、部門間での情報共有がスムーズになります。これにより、お客様対応の質が向上し、結果的に売上向上につながります。
人的ミスの削減
手作業による入力ミスや転記ミスが大幅に減少します。特に会計システムや受発注システムでは、ミスによるトラブルが減ることで信頼性が向上します。
意思決定スピードの向上
リアルタイムでのデータ確認が可能になることで、経営判断や営業判断を迅速に行えるようになります。
よくある質問
Q: 複数システムの同時入れ替えは可能?
A: 可能ですが、補助上限額内での申請となります。例えば、会計システムと在庫管理システムを同時に導入する場合でも、合計で上限額の範囲内である必要があります。複数システムを統合した方が業務効率が上がる場合は、積極的に検討することをお勧めします。
Q: リース契約でも補助対象?
A: 残念ながら、リース・レンタル契約は補助対象外です。一括購入のみが対象となります。ただし、分割払いでの購入は可能な場合もありますので、資金計画に合わせて検討してみてください。
Q: 導入後のサポート費用も補助対象?
A: システム導入時の初期設定やデータ移行、操作研修費用は補助対象となりますが、継続的な保守・サポート費用は対象外です。ただし、導入から3ヶ月程度の初期サポート費用は対象となる場合があります。
Q: 補助金の申請から実際の受給までどのくらいかかる?
A: 申請から交付決定まで約1~2ヶ月、システム導入完了後の実績報告から補助金受給まで約1~2ヶ月程度です。つまり、申請から実際に補助金を受け取るまでは4~6ヶ月程度を見込んでおく必要があります。
成功する入れ替えプロジェクトのポイント
私がこれまで多くのシステム入れ替えプロジェクトに関わってきた経験から、成功のポイントをお話しします。
まず重要なのは、現状の課題を正確に把握することです。「何となく古いから新しくしたい」ではなく、「入力作業に時間がかかりすぎる」「在庫情報の確認が遅い」など、具体的な課題を明確にすることが大切です。
次に、段階的な導入計画を立てることをお勧めします。一度にすべてを変えるのではなく、まずは最も効果が期待できる部分から導入し、徐々に範囲を広げていく方法です。これにより、従業員の方も新しいシステムに慣れやすくなります。
また、経営層の理解とサポートも欠かせません。システム入れ替えは単なるIT投資ではなく、会社の業務プロセス全体を見直す機会でもあります。経営者の方が積極的に関わることで、プロジェクト全体がスムーズに進行します。
まとめ
IT導入補助金を活用したシステム入れ替えは、中小企業のデジタル化を促進する有効な手段です。適切な計画立案と申請手続きにより、最大450万円の補助を受けながら業務効率化を実現できます。早期の検討と準備が成功の鍵となります。
長崎県佐世保市の事例でもお話ししたように、システム入れ替えによる効果は導入直後から実感できることが多いです。入力時間の短縮、情報共有の改善、営業効率の向上など、具体的な成果が期待できます。
ただし、補助金の申請には期限があり、予算も限られています。システムの老朽化や業務効率の改善を検討されている方は、ぜひ早めにご相談いただければと思います。私たち株式会社みんなシステムズでは、補助金申請から導入、運用サポートまで一貫してお手伝いさせていただいております。
皆様の会社のDX推進と業務効率化のお手伝いができれば幸いです。ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお声がけください。