基幹システム
公開: 2025年09月10日 管理者 122 views 更新: 2025年11月29日

業務が属人化する原因とは?基本を解説

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業務が属人化する原因とは?基本を解説

みなさんこんにちは株式会社みんなシステムズの営業の岩永です。
今回は企業様からのご相談で非常に多い「あの人がいないと仕事が回らない」という業務の属人化問題について、現場での経験を踏まえながらお話しさせていただきます。

業務の属人化とは?

業務の属人化とは、特定の従業員だけが業務内容や手順を把握しており、その人以外では対応が困難な状態を指します。この状況では、担当者が不在になると業務が停滞し、組織全体の生産性に大きな影響を与える可能性があります。

私がお客様とお話しする中でも「田中さんが休むと発注業務が止まってしまう」「山田さんしかあのシステムの操作方法を知らない」といった声をよく聞きます。一見すると「その人が優秀だから」という良い面もあるように思えますが、実は企業にとって大きなリスクを抱えていることになります。

特にコロナ禍以降、テレワークが普及する中で、この問題がより深刻化していると感じています。オフィスにいれば「ちょっと教えて」で済んでいたことが、属人化により業務が完全にストップしてしまうケースが増えているのです。

業務の属人化が起こる主な原因

マニュアルや手順書の不備

業務が属人化する原因として最も多いのが、適切なマニュアルや手順書の不備です。業務手順が文書化されていない、または古い情報のまま更新されていない場合、担当者の経験と記憶に依存する状況が生まれます。

実際に私が訪問した企業では「10年前に作ったマニュアルがあるけれど、実際の業務とは全然違う手順になっている」という状況が珍しくありません。システムが更新されたり、業務フローが変更されたりしても、マニュアルだけが古いままで放置されているパターンです。

また、「マニュアルを作る時間がない」「作っても誰も見ない」という理由で、そもそもマニュアル作成を後回しにしている企業も多く見受けられます。しかし、これが後々大きな問題となって表面化することになります。

業務の複雑性と専門性の高さ

高度な専門知識や長年の経験が必要な業務は、自然と属人化しやすくなります。特に技術系の業務や顧客との関係構築が重要な営業業務では、個人のスキルや経験に依存する傾向が強くなります。

例えば、長崎県佐世保市でサポートしている製造業のB社では、30年のベテラン技術者の方が一人で品質管理業務を担当されていました。その方の経験と勘に頼った品質チェックは非常に正確でしたが、「なぜその判断をしたのか」を言語化できない状況でした。

このような暗黙知に依存した業務は、短期間での引き継ぎが困難で、結果的に属人化が進んでしまいます。

人材不足と時間的制約

慢性的な人材不足により、一人の従業員が複数の業務を担当せざるを得ない状況も属人化の大きな要因です。また、業務の引き継ぎや教育に十分な時間を確保できないことも、この問題を深刻化させます。

「新しい人を雇いたいけれど、教える時間がない」「教えている間は自分の仕事が進まない」といったジレンマを抱える企業様が多いのが現実です。特に中小企業では、一人が担当する業務範囲が広く、属人化せざるを得ない状況に追い込まれがちです。

組織体制の問題

縦割り組織や部署間の連携不足、情報共有の仕組みが整備されていない組織では、業務の属人化が発生しやすくなります。また、個人の成果を重視しすぎる評価制度も、知識やノウハウの共有を阻害する要因となります。

「自分が培った技術やノウハウを他人に教えると、自分の価値が下がるのではないか」と考える従業員もいます。こうした心理的な要因も、属人化を助長する原因の一つです。

属人化が引き起こすリスクとデメリット

業務継続性への影響

担当者の急な退職や病気、異動により業務が完全に停止するリスクがあります。特に重要な業務が属人化している場合、企業の事業継続に深刻な影響を与える可能性があります。

実際に私が経験した事例では、経理担当者が急に入院することになり、給与計算ができなくなってしまった企業がありました。幸い、外部の税理士事務所に緊急対応をお願いして事なきを得ましたが、一歩間違えれば従業員の給与支払いが遅れるという深刻な事態になるところでした。

品質のばらつきと効率低下

標準化されていない業務では、担当者によって作業品質や処理速度にばらつきが生じます。これにより、顧客満足度の低下や組織全体の生産性低下につながります。

また、属人化した業務は他の人が手伝うことができないため、その担当者に業務が集中し、残業時間の増加や精神的な負担増加にもつながります。

新人教育とスキル継承の困難

業務が属人化していると、新入社員や中途採用者への教育が困難になります。教える側も「どこから説明すればよいか分からない」という状況になりがちで、結果的に教育期間が長期化し、即戦力として活用できるまでに時間がかかってしまいます。

属人化しやすい業務の特徴

以下のような特徴を持つ業務は特に属人化しやすい傾向があります:

  • 専門知識が必要な技術業務:プログラミング、機械操作、品質管理など
  • 長期的な顧客関係が重要な営業業務:既存顧客との関係維持、商談進行など
  • 複雑な判断を伴う管理業務:予算管理、人事評価、戦略立案など
  • 頻度が低く手順が複雑な業務:月次決算、年末調整、システムメンテナンスなど
  • 外部との調整が必要な業務:官公庁への申請、取引先との交渉など

これらの業務は完全に標準化することは難しいものの、最低限の手順書作成や複数人での対応体制は構築可能です。

成功事例:佐世保市での基幹システムリプレイスによる属人化解消

ここで、長崎県佐世保市の卸売業C社での成功事例をご紹介します。C社では長年、受発注業務が特定の社員に属人化しており、その方が休暇を取ることすら困難な状況でした。

特に問題だったのは以下の点でした:

  • 複雑な入力手順:古いシステムのため、一つの注文を入力するのに10以上の画面を操作する必要がありました
  • 在庫確認の煩雑さ:営業担当者が外出先から在庫を確認できず、都度担当者に電話で確認する必要がありました
  • エラー対応の属人化:システムエラーが発生すると、特定の社員しか対応方法を知らない状況でした

そこで基幹システムのリプレイスを実施し、以下のような大幅な改善を実現しました:

  • UI(ユーザーインターフェース)の大幅改善:直感的な操作が可能な画面設計により、新しいスタッフでも短期間で操作を習得できるようになりました。従来10以上必要だった操作画面が3画面まで削減されました。
  • モバイル対応による業務効率化:営業担当者がスマートフォンから在庫確認や簡単な受注入力ができるようになり、お客様への回答スピードが格段に向上しました。
  • 自動化機能の実装:定型的な処理は自動化され、人的ミスの削減とともに属人化の解消にもつながりました。
  • わかりやすいエラーメッセージ:エラーが発生した際も、画面上に具体的な対処方法が表示されるようになり、誰でも対応できるようになりました。

結果として、これまで一人の社員に依存していた受発注業務を、複数名で対応できる体制に変更することができました。さらに、業務効率の向上により処理能力が約30%向上し、売上アップにもつながったのです。

C社の社長からは「最初はシステムの変更に不安もあったが、これだけ業務が楽になり、しかも誰でも対応できるようになったのは想像以上の効果だった」というお言葉をいただきました。

業務の属人化を防ぐための基本対策

属人化を防ぐためには、以下の対策が効果的です:

業務マニュアルの作成と定期更新

まずは現在の業務手順を詳細に文書化することから始めましょう。ただし、分厚いマニュアルを作成するのではなく、「新人でも理解できる」レベルの簡潔で分かりやすい内容にすることが重要です。

また、業務の変更があった際は必ずマニュアルも更新し、常に最新の状態を保つようにしましょう。「更新するのを忘れた」ということがないよう、業務変更時のマニュアル更新を必須工程として組み込むことをお勧めします。

複数人での業務担当制の導入

一つの業務を必ず2人以上で対応できる体制を構築します。メイン担当者とサブ担当者を設定し、定期的にサブ担当者も実際に業務を行うことで、スキルの維持・向上を図ります。

定期的な業務ローテーション

同じ人が長期間同じ業務を担当し続けることを避け、定期的にローテーションを実施します。これにより、複数の従業員が様々な業務を経験し、組織全体のスキルレベル向上にもつながります。

知識共有の仕組み構築

定期的な勉強会の開催、業務改善提案制度の導入、ナレッジベースシステムの活用など、従業員間で知識やノウハウを共有する仕組みを整備します。

業務の標準化と可視化

業務フローを図式化し、誰が見ても理解できるようにします。また、チェックリストを活用することで、作業の漏れや品質のばらつきを防ぐことができます。

システム活用による自動化推進

定型的な業務はシステムで自動化することで、属人化のリスクを根本から排除できます。先ほどのC社の事例のように、適切なシステム導入により大幅な改善が期待できます。

属人化解消に向けた段階的なアプローチ

いきなりすべての業務の属人化を解消するのは現実的ではありません。以下のような段階的なアプローチをお勧めします:

第1段階:リスクの高い業務の特定

まずは「その人がいないと業務が止まってしまう」リスクの高い業務を洗い出し、優先順位をつけます。事業継続への影響度と属人化の深刻度を軸に評価することが重要です。

第2段階:緊急時対応の準備

完全な属人化解消には時間がかかるため、まずは緊急時に最低限の対応ができる体制を整えます。簡易的な手順書の作成や、基本的な操作方法の共有から始めましょう。

第3段階:本格的な標準化・システム化

緊急対応体制が整った後、本格的な業務標準化やシステム化に取り組みます。この段階では、業務フローの見直しや効率化も同時に検討することで、より大きな効果が期待できます。

経営陣の理解とサポートの重要性

属人化解消の取り組みを成功させるためには、経営陣の理解とサポートが不可欠です。短期的にはコストや手間がかかりますが、長期的には大きなリスク回避と生産性向上につながることを理解していただく必要があります。

また、属人化解消に協力的な従業員を適切に評価する仕組みも重要です。「自分の知識を共有することが会社にとって価値のある行動である」という企業文化を醸成することが成功の鍵となります。

まとめ

業務が属人化する原因は多岐にわたりますが、主にマニュアル不備、専門性の高さ、人材不足、組織体制の問題が挙げられます。これらの原因を理解し、適切な対策を講じることで、組織の持続可能な成長と安定した業務運営を実現できます。

長崎県佐世保市のC社の事例のように、システム改善と業務標準化を組み合わせることで、属人化解消と生産性向上の両方を実現することが可能です。

重要なのは「完璧を目指さず、できることから始める」という姿勢です。すべての業務を一度に標準化する必要はありません。リスクの高い業務から優先的に取り組み、段階的に改善を進めていけば、必ず成果は現れます。

早期の対応が重要なため、現状把握から始めて段階的に改善を進めていきましょう。もし「どこから手をつけてよいか分からない」という場合は、お気軽にご相談ください。現場の状況をお伺いして、最適な改善プランをご提案させていただきます。

属人化の問題は避けて通れませんが、適切な対策により必ず解決できます。組織全体で取り組むことで、より強固で効率的な業務体制を構築していきましょう。

管理者

記事執筆者・監修者

最新のテクノロジートレンドや開発手法について、実践的な知見を共有しています。 業界の専門知識を分かりやすく解説することを心がけています。

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