契約前は神対応、契約後は神隠し
「お疲れ様です。いつもお世話になっております」
これは、3ヶ月前まで担当システム会社の営業担当者から毎日のように届いていたメールの冒頭文です。私は製造業A社で事務とIT業務を兼任しており、基幹システム刷新プロジェクトを担当しています。契約前の営業担当者は本当に熱心で、週に2回は訪問してくれて、細かい質問にもすぐに回答をくれる理想的な営業担当者でした。
しかし、契約書にハンコを押した途端、まるで人が変わったかのように連絡が取れなくなったのです。
始まった「営業担当者を探せ」ゲーム
最初に違和感を覚えたのは、契約から1週間後のことです。システム設計の打ち合わせ日程を調整しようと営業担当者に電話をしたところ、「申し訳ございません、他の客先におりまして...」という応答。まあ、忙しいのは理解できます。
しかし、それから2週間。メールを送っても返事が来ない、電話をかけても「確認して折り返します」ばかり。ようやく連絡が取れたと思ったら「すみません、バタバタしていまして」の一言で、具体的な進捗についてはまた後日ということに。
現在に至っては、もう1ヶ月以上直接話ができていません。「(営業担当者)さんはいつ頃お戻りでしょうか?」とシステム会社の受付に聞くと、「少々お待ちください」と保留にされた後、「申し訳ございません、(営業担当者)は外出中でして、戻り時間が未定です」との回答。まるで行方不明者を探しているような気分になってきました。
「売り逃げ」された現場の混乱
一番困るのは、プロジェクトが止まってしまうことです。詳細設計の確認事項があっても営業担当者と連絡が取れず、エンジニアの方に直接連絡を取ろうにも「営業を通してください」と言われてしまいます。
先週は、システムの仕様変更について緊急で相談したいことがあり、営業担当者に電話をかけました。3回目でようやく繋がったと思ったら「今ちょっと忙しくて...メールで送ってもらえますか?」と言われ、メールを送ったものの1週間経っても返事なし。結局、私が直接システム会社のオフィスに出向いて、受付で「(営業担当者)さんに会わせてください」とお願いする羽目になりました。
「営業はお客様先に出ておりまして...」「いえ、アポイントメントを取っていただかないと...」受付での押し問答が30分続いた後、ようやく現れた営業担当者は「すみません、本当にバタバタしていまして」の謝罪の連発。でも、その「バタバタ」の内容については一切説明なし。
契約前後の豹変ぶりに唖然
契約前の営業担当者を思い出すと、本当に別人のようです。あの頃は「何かご不明点があれば、いつでもお気軽にお電話ください!」と言ってくれて、実際に夜遅くでも電話に出てくれました。資料の準備も早く、翌日には必要な書類を持参してくれる頼もしい存在でした。
それが今では、こちらから何度連絡を取っても「後で」「今度」「確認します」の三段活用。まるで避けられているような感覚さえ覚えます。上司からは「プロジェクトの進捗はどうなってる?」と聞かれるのに、肝心の営業担当者と連絡が取れないのでは答えようがありません。
「契約を取るまでが営業の仕事で、後は知らない」という姿勢がありありと見えて、正直失望しています。こちらは長期的なパートナーシップを期待していたのに、まさに「売り逃げ」状態です。
現場が本当に求めているもの
システム導入は契約してからが本当のスタートです。設計、開発、テスト、運用開始まで、数々の課題が待ち受けています。そんな時に営業担当者が雲隠れしてしまっては、プロジェクトの成功など望めません。
私たちが求めているのは、契約前後で態度が変わらない一貫した対応です。「売ったら終わり」ではなく、「売ってからが始まり」という意識を持って、最後まで責任を持って対応してほしいのです。
理想を言えば、「契約後も引き続きサポートさせていただきます。何かあればいつでもご連絡ください」と言って、実際にその通りに行動してくれる営業担当者。そんな当たり前のことが、なぜこんなに難しいのでしょうか。
今日もまた、営業担当者の携帯電話に「現在電話に出ることができません」のアナウンスが流れる中、信頼できる営業担当者に出会える日を心待ちにしている私なのでした。