基幹システム
公開: 2025年08月27日 管理者 9 views 更新: 2025年08月30日

営業の技術音痴に振り回される現場の悲劇

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営業の技術音痴に振り回される現場の悲劇

「もちろんです!」から始まる悲劇

「APIですね!もちろんです。うちのシステムはAPIが充実してるので、どんなシステムとも簡単に連携できますよ!」

これは、先週の打ち合わせでI社の営業担当者が放った自信満々の回答です。私は製造業A社で事務とIT業務を兼任しており、今回基幹システムの刷新プロジェクトを任されました。具体的にどんなAPIが利用できるのか詳しく聞こうとしたところ、急に歯切れが悪くなって「詳細は技術者に確認します」との返答。

「最初から知らないって言ってくれればいいのに...」心の中でそうつぶやきながら、結局また後日回答待ちになってしまいました。

現場で直面する"営業あるある"の数々

実は、これだけではありませんでした。要件定義の打ち合わせで「既存データベースの正規化レベルを教えてください」と質問したところ、営業担当者は「正規化はバッチリやってます!第一正規化も第二正規化も完璧です」と胸を張って答えます。

「では、具体的にはどのような設計になっていますか?」と詳しく聞くと、今度は「えーっと、それは...技術的な詳細は設計書をお渡ししますので」と急に及び腰に。結局、30分の予定だった打ち合わせが、営業担当者の曖昧な説明で2時間に延びてしまいました。

さらに困ったのは、技術的な質問をするたびに最初は知ったかぶりをしてから、結局「詳細は確認します」パターンの繰り返し。「レスポンスタイムは1秒以内で全然問題ないです!」と言うので安心していたら、後日「すみません、条件によっては3秒くらいかかる場合があります」という訂正が。最初から正直に言ってもらえれば、要件を調整できたのに...

エンジニアは優秀なのに、なぜ営業が...

不思議なことに、I社の技術者の方々は非常に優秀です。システム設計の打ち合わせでは、こちらの要望を的確に理解し、技術的な制約も含めて現実的な提案をしてくれます。複雑な業務フローにも柔軟に対応してくれる姿勢も評価できます。

「なぜ最初から『わからない』って言ってくれないんだろう?」同じ会社なのに、営業担当者の中途半端な知識が逆に混乱を招いていることは明らかでした。知ったかぶりをしてから後で訂正されるより、最初から「技術者に確認します」と言ってもらった方が、よっぽど信頼できます。

一番困ったのは、営業担当者の間違った理解がエンジニアにも伝わってしまうことです。「お客様は○○を希望されています」と営業が伝えた内容が、実際の要望とズレていて、エンジニアの方が混乱してしまう場面も何度かありました。

そして最悪なのは、システムに不具合が発生した時の対応です。データの不整合が起きて問い合わせをしたところ、営業担当者から返ってきたのは「お客様の運用方法に問題があるのでは?」という言葉。こちらは提示された手順書通りに操作しただけなのに、まるで私たちが悪いかのような言い方をされました。「弊社のシステムは問題ありませんので、御社の環境を確認してください」と言われた時は、さすがに怒りを覚えました。

現場が本当に困っていること

システム導入は会社の将来を左右する重要なプロジェクトです。私のような現場担当者は、限られた時間の中で最適な判断をしなければなりません。そんな時に営業担当者の知ったかぶりで間違った情報を掴まされ、さらに問題が起きると顧客のせいにされるのでは、信頼関係など築けるはずがありません。

「大丈夫です、できます!」と自信満々に答えておいて、後になって「実は制約があります」「追加費用がかかります」。そして不具合が起きれば「お客様の使い方が悪い」。このような対応では、上司への説明も困るし、プロジェクト全体が破綻しかねません。営業担当者には、責任転嫁ではなく、問題解決に向けた建設的な姿勢を見せてほしいのです。

こんな営業担当者なら安心なのに

理想を言えば、「技術的なことはエンジニアにお任せください。何か問題があれば一緒に解決しましょう」と言ってくれる営業担当者がいてくれれば、どんなに心強いでしょうか。知ったかぶりではなく、知らないことは知らないと認めて、問題が起きた時は顧客と一緒になって原因を探ってくれる。そんな営業担当者なら信頼できます。

「うろ覚えの知識で適当に答えて、問題が起きたら顧客のせい」な営業より、「わからないことは確認し、問題が起きたら一緒に解決する」営業の方が、現場としては100倍ありがたいのです。プロジェクトの進行もスムーズになり、結果的にお互いにとってメリットのある関係を築けるはず。

今日もまた、「大丈夫です、問題ありません!」という根拠のない自信と「それはお客様の問題です」という責任転嫁を聞きながら、誠実な営業担当者に出会える日を心待ちにしている私なのでした。

管理者

記事執筆者・監修者

最新のテクノロジートレンドや開発手法について、実践的な知見を共有しています。 業界の専門知識を分かりやすく解説することを心がけています。

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